県峡東建設事務所(宮澤佐敏所長)は、平成21年度の主要事業を明らかにした。今年度は、大常木バイパスと、嵯峨塩堰堤のスリット化及び嵩上げ工事が本格化する。同バイパスについては、トンネル掘削のための仮設道路の設置とトンネル本体の掘削を計画、6月議会承認され次第着工される。また、継続して国道140号登坂車線設置、国道411号上萩原Ⅱ期バイパス、国道411号一之瀬高橋バイパス、一般県道河口湖芦川線(若彦トンネル)、塩の山西広門田線(仲沢ガード)などを整備する。
これらの工事は透明性・公平性を確保する観点から1000万円以上の工事で一般競争による発注を行い、公共工事の品質確保を目的とした総合評価方式を積極的に導入して行く。
主要事業概要は次のとおり。
【国道140号登坂車線設置】
今年度は、橋梁1橋の拡幅を含む改良工・舗装工を計画し、22年度の完成を目指す。山梨市三富川浦雷地内から円川までのL2900m、W6・5m(14m)区間は縦断勾配がきつく、重車両の増加による一般車両安全確保のため、登坂車線設置の改良工事を平成10年度から実施している。
【国道411号上萩原Ⅱ期バイパス】
今年度は、橋梁2橋、起終点現道取り付け工事、照明、舗装工を計画、年度内の完成を予定している。甲州市塩山街地北端より柳沢峠までの約10km間は山岳道路となっており、幅員5~6m、曲線半径15m程度のヘアーピンカーブが連続し、交通の難所である。日常的にも落石、路肩崩壊等の危険にさらされており、早急な対策が望まれていた。同工区は、平成9年度より事業を進め、L2600mの区間においてバイパス工事を進めている。このうち、甲府側L1500mは平成17年に供用を開始。現在、柳沢峠側L1100m区間のトンネル、法面工事を進めている。
【国道411号一之瀬高橋バイパス、大常木バイパス】
一之瀬高橋バイパスは今年度、起点(甲州市)側トンネル坑口防災工事、橋梁上部工事を計画している。23年度の完成を見込む。同バイパスは平成17年の地震による斜面崩壊箇所において、危険箇所を回避するバイパス工事L440mの改良工事を進めている。また、一之瀬高橋トンネルL253mとトンネル前後の2基の橋梁下部工は21年3月に完了済み。
一方、大常木バイパスは今年度、トンネル掘削のための仮設道路の設置とトンネル掘削を計画。法面上部に地形変状箇所が認められたため、その対策としてトンネル工事を計画し、6月議会での承認を受けて着工する。同地域は、丹波山村側に隣接した区域で、危険箇所の回避を考慮した改良計画の検討を18年度から行っている。
【一般県道河口湖芦川線(若彦トンネル)】
現在、芦川工区L1162mで舗装工、照明工及び非常用設備工等を施工している。今年度は明かり部の改良工及び標識工を計画、年度末の供用を目指し事業を進める。
一般県道河口湖芦川線は、富士河口湖町大石と笛吹市芦川町上芦川を結び延長5800m(内トンネル2600m)明かり部W6(8)mで計画。平成12年度から河口湖側で事業に着手し、昨年8月には芦川工区において、トンネルの貫通式が行われた。
【主要地方道甲府笛吹線(蛍見橋拡幅)】
今年度は、昨年度に続き、下流側の拡幅に着手し、22年度秋の完成を目指し事業を進める。蛍見橋は、笛吹市石和町小石和において笛吹川を横断するL256m、W5・6mの橋梁であるが、幅員が狭く大型車のすれ違いが困難なため、W6・5mに拡幅し交互通行できるよう整備を行っている。19年度から拡幅の詳細設計を行い、20年度に河川管理者との協議に整う工事を実施した。
【街路・塩の山西広門田線(仲沢ガード)】
今年度は昨年度から進めている、仲沢ガード南北改良工事を引き続き行う。年度末には供用開始する予定だ。甲州市塩の山西広門田線は昭和62年2月3日に都市計画決定され、11年度に事業着手した。15年度までに仲沢ガード区間の用地買収が完了、16年度にJRと仲沢ガードの整備について委託契約を締結、17年6月に工事着手し、20年3月に完成した。
【平等川河川改修事業】
今年度は、神橋下流までのL320m(両岸)の護岸工事を計画。平等川は、下流の甲府市(中北建設事務所管内)で国補事業として河川改修を進めている。16年度は、笛吹市春日居町鎮目地内から上流L2100mを整備し、基幹河川改修事業として河川整備を実施している。
【日川通常砂防事業・「嵯峨塩堰堤」スリット化】
今年度は、H3mのスリット化及び堰堤堆積土除去を計画している。昨年度から、管理用道路工事に着手した。甲州市の日川流域においては、土砂整備率が未だ低いため、向上させる必要があるが、本川においては既に堰堤15基が整備され、適地がなくなりつつある。このため、既設堰堤を改良する計画が経済的に有利とされ、第一期工事として「嵯峨塩堰堤のスリット化及び嵩上げ工事」を行うこととした。事業は、管理用(工事用)道路を設置した後、3年程度をかけて段階的に既設堰堤のスリット化を行い、現在満砂状態である堰堤の土砂調節機能の回復を図る。
◆管内の状況
【道路】
管内道路は、首都圏と山梨県を結ぶ中央自動車道、国道20号が東西に走り、静岡方面を結ぶ国道137号、358号や埼玉、東京方面を結ぶ国道140号、411号が南北に走り管内道路網の骨格を形成している。これらの幹線道路を中心に主要地方道5路線、一般県道32路線で管内道路網が構成されており、輸送力の増強、渋滞解消、道路利用者の安全確保を目指して整備を進めている。当事務所が管理する道路は41路線・延長374kmである。
【河川】
管内河川は、富士川水系に属する河川として笛吹川、重川、日川等、多摩川水系に属する河川として多摩川などがある。
管内河川では洪水等による自然災害が数多く発生してきた河川を中心に河川整備を進めてきており、上流域では土砂災害防止のための土石流危険渓流の整備や急傾斜地崩壊対策事業を推進している。「川に親しみ、水辺にふれあう空間」として親水護岸や水辺公園の整備や土砂災害防止法に基づく砂防基礎調査を実施。当事務所が管理する河川は一級河川102河川・延長350Kmとなっている。
【所管区域】
峡東建設事務所管内は、県の北東部に位置し、地形的には甲府盆地の北東部の平坦部とそれに続く秩父山系及び御坂山系の地域からなっている。当事務所の所管区域は山梨市、笛吹市及び甲州市の3市からなり人口は14万3206人(平成21年4月1日現在)面積は約755・8K㎡であり、県全体に於ける割合は人口・面積とも約17%弱。
【写真=整備が進む国道411号上萩原Ⅱ期バイパス】