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5年間の緊急対策策定へ/知事「より災害に強い形で復旧」/千曲川

2019/12/04 長野建設新聞

 国と県、千曲川沿川の県内41市町村は、台風19号災害で甚大な被害が出た千曲川流域の早期の復旧・復興と減災対策の推進に向け、今後5年間で緊急に取り組むハード・ソフト対策を「緊急治水対策プロジェクト」として取りまとめる。11月29日に信濃川水系緊急治水対策会議の初会合を開き、検討を始めた。

 プロジェクトは「河川における対策」「流域における対策」「まちづくり、ソフト対策」の3本の柱で構成。河川における対策では堤防整備や河道掘削といった治水対策、流域における対策では排水機場整備などの浸水被害軽減対策、ソフト対策では安全な地域への居住地の誘導など減災に向けた取り組みを想定し、おおむね5年間で実施する施策を盛り込む。

 県庁で開かれた対策会議で阿部守一知事は「単に元に戻す、原形復旧するということではなく、より災害に強い形での復旧・復興を行わなければいけない。その思いを共有し、千曲川の治水対策をしっかりと進めていきたい」とあいさつ。国土交通省北陸地方整備局の田部成幸河川部長は「早期の復旧・復興、さらには流域全体の安全・安心な暮らしの確保に向け、流域の関係者と綿密に連携し、緊急的に取り組むべき施策を取りまとめたい」と述べた。

 意見交換では、出席した市町村長が順番に発言。2人の死者が出た長野市の加藤久雄市長は「今回の被災地の中には、これまでに何度も被害を受けている地区もある。二度とこうしたことがないよう、そして絶対に死者を出さないという決意で対策を考えてほしい」と要望。千曲市の岡田昭雄市長は千曲川の河床の浅さを指摘し、北相木村の井出髙明村長は流木流出対策の必要性を訴えた。また、野沢温泉村の富井俊雄村長は国による河川管理の一元化を求め、木島平村の日台正博村長は村内の遊水池が効果を発揮したことを紹介し「洪水調節機能を計画にしっかり入れてほしい」と提案した。

 おわりに県の長谷川朋弘建設部長は「市町村の皆さんには地域連携によるソフト対策を真剣に考えていただきたい。県としても復旧整備を鋭意進めるとともに、国や市町村と一体になって総合的な治水対策を取りまとめ推進していきたい」と述べた。

 プロジェクトの策定時期は未定だが「できるだけ早期にまとめる」(志野直紀北陸地整河川計画課長)。また、長大な信濃川水系の上下流のバランスを考慮する必要があるためプロジェクトは水系全体で策定するが、関係自治体が多いことから対策会議は長野県(千曲川)と新潟県(信濃川中流)に分けて開催する。なお、新潟県の初会合は12月6日に開かれる。

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